あの神殿本部に何があるのかわからないけれど、あのツルッとした司教──名前忘れたけど、あんな人物が高位にいる限り神殿の中はきっと腐敗しているに違いない……偏見だけど。

 アルムストレイム教は今代の教皇のように一人の人間が長く統治しているから、組織自体が澱んで正常に動かなくなっているような気がする。法国は一度全てを明るみにしてから解体しちゃって新しく構成し直せばいい……と思う。


 私はつらつらとそんな事を考えながら街へと向かっていた。今日は街にあるランベルト商会に私が刺した刺繍の品を納品に行くのだ。


 子供達は婦人会のおばさま方が見てくれている。月に三度ほどそんな日を設けてくれるので本当に有り難い。

 ちなみにおばさま方には感謝の気持として刺繍したハンカチや小物を時々プレゼントしている。それをきっかけに個人の依頼もいくつか貰えるので、とても助かっている。


 人で賑わう大通りを進んで行くと、一際大きな建物が目に入る。流行の発信地と言われる帝国に本店がある商会で、取り扱っている商品はどれも洗練されている、今やこの街一番の人気店だ。