巫女見習いである私と、恐らく上級悪魔であろうエルとの秘密会議は一週間に三回の頻度で行われるようになった。

 どうやら私が司祭様から与えられていた法国の情報がかなり貴重だったらしく、とてもエルの役に立っているらしい。


 法国の一般常識だと思っていた事が悪魔にとって重要だったとは……何が幸いするか分からないなあ。


(別に口止めされていた情報でもないし、禁秘事項でもないし大丈夫だよね……?)


 エルにはどんな事でも答えようと思っていたけれど、何だか心配になってきた。エルは法国と事を構えようなんて思っていない……はず!


(そもそも、一柱の悪魔が法国に挑むなんて無謀な事はしないだろうし)


 あの国には悪しき闇のモノに対する抵抗手段がふんだんに揃っている。悪魔どころか魔神用の殲滅神器まであるのだ。

 いくらエルが高位の悪魔だとしても、神器なんかが出てきたら一溜まりもないだろう。


(それに、エルは法国そのものじゃなくて、この国の神殿本部に用がありそうなんだよね)