巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


 今はもう話している余裕なんてないから、日を改めてテオを含めた領主一族の事を聞いてみたい。そしてその時にテオとは絶対付き合えないって釘を差しておかなくちゃ。


「おお! ツンの次はデレか? やっぱり『ツンデレ』じゃん! もう、サラは素直じゃねーなあ!」


(なんてこった! テオの勘違いを更に加速させてしまった!)


「だから勘違いしないでってば! 私は忙しいの!! じゃあね!!」


「わ、わわっ!」


 私は強引にテオを追い出して扉を閉め、鍵をかける。テオは扉を何回か叩いていたけれど、私が開ける気がないと分かると「また来るからなー!」と扉に声を掛けて帰って行った。


(やれやれ……。あの勘違いをどうすれば止めさせられるんだろう)


 本当は関わりたくないけれど、後一回我慢すればいいのだ、と自分を慰める。


 それから私は子供達に夕食を作り、身体を清めさせて寝る準備をする。そしてエルから貰った新しい絵本の内から一冊を選び、子供達に読み聞かせる。

 ちなみにエルは新しい絵本を子供の人数分──十冊も贈ってくれていた。これでしばらくは子供達を退屈させなくて済みそうだ。