巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


 以前からテオに交際を申し込まれていたけれど、私は頑なに拒否している。目先の利益に囚われてテオと付き合えば、ろくな事にならないのは目に見えているし、絶対子供達の面倒を見る時間がなくなってしまう。


(……まあ、それ以前に私がこのテオという男を嫌いだという事もあるけれど)


「何度も言っているけど、テオと付き合う気はないから。この前まで付き合っていた女の子はどうしたの?」


 テオはその比較的整った顔と領主の息子という身分を活かして、女の子を取っ替え引っ替えしている。泣かせた女の子は数しれず、でもこの街に住んでいる限りは誰も文句が言えないという地雷男なのだ。


「何々、もしかしてヤキモチ焼いてんの? 大丈夫だって、俺はサラ一筋だぜ? 今までの女はサラと付き合うまでの代わりだよ」


(……うわぁ、サイテー! これは野放しにしちゃダメな奴なんじゃ……)


 こんな男が次期領主だなんて……この街の未来が心配になる。


「あのね、テオは将来領主になるんでしょう? そんな風にフラフラするのはもうやめなよ」