風が弱まったのを見計らい窓を覗くと、何も変わったことが無いいつもの風景が広がっていた。
(まあ、悪魔が玄関から帰るのもおかしい……のかな? 一瞬悪魔なのを忘れちゃってたや)
それにしても、悪魔と約束するなんて、巫女にあるまじき事をしてしまったな、と思う。けれど、浅ましい私は子供達への贈り物のお礼だと割り切る事にする。
──私がいくら祈っても、神からの救いは無かった。だから手を差し伸べてくれたのが悪魔だったとしても……私はその手を跳ね除けなかったのだ。
(経典からすれば私のこの行為は神に背く事になるんだろうな……でも、子供達にこれ以上不自由な思いをさせたくない……!)
神様が助けてくれないのなら、私は悪魔とだって手を組もう。それで私の魂が地獄に堕ちたとしても構わない。
悪魔が子供達を助けてくれるなら、どんな事でも協力しよう──私はそう、決意した。
(あ、そう言えば次は何時来るのか聞きそびれちゃったな)
悪魔──エルが情報を求めるのなら、これからはアルムストレイム教の本をたくさん読んで、街の方へも顔を出して情報を集めよう。



