魔法の攻撃を受けたことで、闇のモノが私の存在に気付き、こちらに顔を向けると「……コノ、小娘ガァアアアアアッ!!」と叫んだ。
「嘘っ!! 喋った?!」
闇のモノが人語を喋るとは思わなかった私はめちゃくちゃ驚いた。
その聞き覚えがある声に、もしかするとまだ闇のモノは完全にトルスティ大司教と同化出来ていないのかもしれない、と思う。
(じゃあ、もしかして完全に同化してしまうと、<穢れを纏う闇>に──?!)
思わず最悪な想像をしてしまい、ぶるっと身体が強張ってしまう。
「サラっ!! 逃げてっ!!」
「バカ何してんだっ!! とっとと逃げろっ!!」
エルとお爺ちゃんが私に向かって走ってくる。
その後を騎士団の人達が追いかけているのを見て、私が伝えたかったことに気付いてくれたのだと理解する。
『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の弓となれ ルクス・アルクス!!』
エル達が逃げろと言うのも構わず、私は光魔法で攻撃を続ける。
せめて皆んなが玉座の間から出てくるまで、時間稼ぎをしようと思ったのだ。
「オノレ……オノレェェェエエエ!!」