私は玉座の間から出るべく、扉に向かって全力で走る。


 そうして一歩、玉座の間から出た私はくるっと身体を反転させると、覚えたての光攻撃魔法の呪文を詠唱する。


『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の槍となれ ルクス・クリス!!』


 私は玉座の間の中にいる闇のモノへ魔法を放つ。


 もしかして玉座の間に入ると魔法が無効化されるかも、と思ったけれど、トルスティ大司教を取り込んだ闇のモノに、私の魔法が無事直撃する。

 私が放った光の槍は威力を落とすこと無く闇のモノに刺さり、その身体を大きく抉り取った。


 市場で闇のモノに襲われた時、何も出来なかったことが悔しくて、私はその悔しさをバネに光属性の攻撃魔法を必死で覚えたのだ。


 私が放った魔法は肩らしき場所を大きく抉るけれど、驚異の再生力でみるみるうちに元の姿へ戻ってしまう。

 攻撃は効かなかったけれど、玉座の間の外からの攻撃が有効だとわかっただけで成功だ。


(闇のモノを玉座の間から引きずり出さなくても、外から魔法を放てば攻撃は通用するんだ!!)