大司教の喚問が行われる日がやってきた。


 喚問が行われる場所である玉座の間では、この国の国政を担う元老院議員を始めとした上位貴族が集まっていた。

 元神殿派の貴族達は寝返ってからも大司教が恐ろしいのか、ずっとソワソワしていて落ち着きがない。きっと大司教と顔を合わせるのが嫌なんだろうな、と思う。


 前回ここで行われてた叙任の儀式の時とは打って変わり、広いホールには重苦しい雰囲気が漂っている。


 今回、私は事件の当事者として召喚され、お爺ちゃんと一緒に喚問が始まるのを待っていた。子供達も関係者ではあるけれど、今日はお留守番して貰っている。


 そうして待つことしばし、王族の入室を告げるラッパが響き渡り、国王陛下とエルが入場する。

 陛下が玉座に座り、エルが陛下の横に立つと、広間内を一瞥してからよく通る声で宣言した。


「これよりアルムストレイム教サロライネン王国神殿本部の聖職者であるトルスティ大司教を喚問する。トルスティ大司教をここへ」


 エルの声が玉座の間に響き渡ると、扉が開きトルスティ大司教が入ってきた。