「うーん、お爺ちゃんが自分からアルムストレイム教と決別したから、じゃないですか? でも、あの腐敗した聖職者達がいる限り、何時そうなってもおかしくありませんでしたけど」


 実際、私はあの場所にいるのがすごく嫌で、早く帰りたかったのは確かなのだ。


「……まあ、今はそういうことにしておきましょうか」


 ヴィクトルさんはどうやら私の推理にご不満らしい。頑張って考えたのに。でも”今は”ってなんなのさ。


「──もし、神殿本部を再建することになったら、その時はサラ様のお力をお貸しいただけますか?」


「え? えっと、はい。私でお役に立てるのなら」


 もしかしてヴィクトルさんは神殿本部に情が移ってしまったのかもしれない。上位聖職者の司教達は腐りきっていたけど、まともな人達だって大勢いると思うし。

 私も結局、アルムストレイム教と決別したけれど、ずっとお世話になったことは変わらないのだ。

 元巫女見習いの私がお役に立てるかわからないけれど、恩返しのつもりで頑張ってみるのも良いかもしれない。


「そう言えば、トルスティ大司教はまだ法国にいるんですか?」