どうやら闇のモノを解き放ったのが司教であること、恐ろしい経験に心を病んだ人を救う術を持っていなかったことなどが原因らしい。

 ……闇属性を貶めた弊害がこんなところに現れるとは。自業自得で呆れてしまう。


「でも、神殿で祈ると神の光で心に平穏が齎されていたでしょう? すぐには無理だろうけど、徐々に心の傷も治ると思うんですけど」


 神殿は最も神に近い場所であり、また神への祈りの場として、常に人々の信仰心が溢れている。そんな神殿は神聖な光に満ち溢れているはずなのに。


「それが、神殿本部にいる知り合いからの話なんですが、どうやら小神殿から<神の栄光>が消失したようなのです」


「………………は? 神殿から神の光が消えたんですか?」


「はい。それも貴女とシス殿が神殿から去った日を境に、です。何か心当たりはありませんか?」


 あの日は司教達が私に無理やり叙階を受けさせようとした日だ。


(えーっと、あの時は神殿本部の司教達から慈愛の心が全く感じられなくて……失望したんだっけ……)


 だけど、私が失望したことと神の光が失われたことの関連性は薄いような気がする。