このままでは埒が明かないし、私の精神力がゴリゴリと削られていくので、さっさと話を終わらせてしまいたい。
「もういいから! 早く望みを言って! あ、お金以外で!」
そんな私を見て、悪魔がふっと笑う。まるで仕方がないなあと言いたげだ。
「そうですね。単刀直入に言いますと、僕は貴女とこれからもこうしてお話したいのです」
「……へ?」
何だそれ、という顔をした私に、悪魔が補足で説明を加える。
「話と言っても色々ありますが……例えば、アルムストレイム教についてや街の様子、領主の噂など、何でもいいです。時々でいいので、僕の話し相手になって欲しいのです」
(アルムストレイム教について……? もしかして<使徒>に見つからないように動向を知らせるとか、儀式や秘儀について探りたいとか……?)
上位の悪魔でも討伐されるのは勘弁願いたいのかもしれない。噂によれば神殿には異形の者の出現をいち早く察知できる魔道具があるらしいし。
「──要は『世間話』をしたい、という事だよね?」



