私はこの美しい悪魔が騎士団に討たれる所を想像して──胸がちくりと痛んだ事実に、自分の心の中の変化に気づく、けれど……。
「……それで、私に何を望むの? 言っておくけど、私の魂は美しくも何ともないよ」
神殿本部に行った時の仕打ちに、私の信仰心は随分薄らいでしまった。それに加え、今の私はこの悪魔に──……。
──その先の事を考えかけ、私は思考を無理やり切り替える。これ以上考えると、自分が信じていたものが根底から覆されてしまいそうだから。
「そうですか? 僕から見て、貴女はとても魅力的に見えますけどね。大輪の薔薇を思わせる赤みがかった髪に、翠玉の大きな瞳が大変可愛らしいですよ」
「な……っ!!」
……それなのに、悪魔は紅玉の瞳で私をじっと見つめ、そんな事を宣うものだから、自分の顔が一瞬で真っ赤になってしまうのが分かる。
しかも悪魔が不思議そうに首を傾げている姿に、ちょっと可愛い……と思ってしまった。
(くっ……! これだから悪魔は……!! 無自覚に人を魅了すんのやめてくれないかな!!)



