「黙れっ!! 王国民などお前を神去らすための生贄だっ!! 穢らわしいお前を神去らせることが出来ればゴミでも役に立つというものよ!!」


 市場の真ん中で闇のモノを解き放ったバザロフ司教にエルが激怒するけれど、司教は聞く耳を持たず、エルごと私や子供達を殺そうと襲ってくる。


「皆んな!! 早くこっちへっ!!」


 闇のモノから、怖がって泣いている子供達を引き離すべく、必死に安全なところへ移動するけれど、闇のモノと対峙しなければならないエル達が心配で思わず後ろを振り返る。


 闇のモノである<穢れし者>を倒すのならば、聖属性の魔力かそれに準ずる聖水や聖具が必要だ。だけど聖魔法の勉強が出来ていない私は攻撃方法がわからず、エル達を助けることが出来ない。


(どうしよう、まさかこんなことになるなんて……!!)


 早々に聖属性の勉強を放棄したことを後悔しても、時既に遅しとは正にこのことだ。


(エル……!!)


 ドロドロした<穢れし者>が動く度に、触れたところが黒く変色し崩れ落ちていく。もし人間が触ると皮膚は爛れ、骨まで溶かし尽くしてしまうだろう。