「これは……まさか<穢れし者>……!?」
突然変化した空気に、バザロフ司教が持っていた水晶玉には<穢れし者>が封じ込められていたのだと理解する。
(どうしてこんなモノがこの世界に存在しているの……!? まるで世界中の悪意が凝縮してるみたいじゃない!)
お爺ちゃんからその存在を聞かされていたけれど、実際目の当たりにするとその存在自体が受け入れ難く、禍々しい姿を見るだけで自分自身が奈落の底に落ちていくような、そんな恐ろしい感覚がして私は悲鳴を上げそうになる。
そして騎士団でも太刀打ちできないと恐れられている闇のモノの出現に、子供達が恐怖で泣き出してしまう。
空間が歪みそうな程の濃厚な瘴気に、呼吸するのが辛い。
<穢れし者>でこのレベルなら、最凶の<穢れを纏う闇>が顕現したら一体……と、想像して恐ろしくなる。
……まだこの状況は運が良かったのだと思うべきなのかもしれない。
「こんな場所で<穢れし者>を解放するなど……っ!! お前は一体何を考えているっ!!」