「シス殿は自分の意志でアルムストレイム教と決別したと言っている。それに神殿本部への苦情や抗議は私達には預かり知らぬこと。それを我々のせいにされても困る」


 エルが至極真っ当に反論している。正直、神殿本部が困っているからと言われても、だからどうしたとしか思えない。 


「うるさい!! 王族にあるまじき闇属性の忌み子風情が……っ!! 司教の私に偉そうにするなっ!! そもそもお前が存在すること自体間違っているのだっ!! お前さえいなければ、この国の実権は我らのものだったというのに……っ!!」


 以前の落ち着いた雰囲気はどこへやら、バザロフ司教が怒り狂いながら、エルに対して不敬極まりない言葉を投げつける。


「先生の悪口を言うなーーー!!」


「先生はすごいんだぞー! めちゃくちゃ強くてかっこいいんだからなっ!!」


「先生が人気だからっていちゃもんつけんな!」


「司教がそんなこと言っていいの? 王子様に?」


「お前の方がどっか行けーーー!!」


 主人に不敬を働いたバザロフ司教に、ヴィクトルさんが剣を向けるより早く子供達が一斉に抗議の声を上げた。