手遅れになる前に、何とかサラを神殿から連れ出さなければ、きっともう二度と彼女に会えなくなる──! そう思うと、僕の胸が張り裂けそうに痛む。


 ──僕から彼女を奪おうとする存在を、僕は絶対に許さない。僕の持ちうる全てのものを使ってでも、完膚なきまでに叩きのめす──!


 ……などと意気込みながら、修道士達を振り切って駆けつけてみれば、すでに彼女は司祭に助けられた後だった。


 だけどそんな事を知らなかった僕は、彼女の髪の色を見付け、彼女の名前を叫んだ。


「サラッ!!」


「えっ!? エル!?」


 彼女の無事な姿にホッとしたのも束の間、見知らぬ美丈夫と抱き合うサラの姿に驚愕する。


(彼は一体……!? どうしてサラは彼に……?)


 「……えっとね、この人が私を育ててくれたお爺ちゃんだよ! エルも心配してくれてたよね! お陰様で無事に再会出来たんだ! 本当に有難う!」


 僕の不穏な空気を察したサラが、慌てて彼の説明をしてくれたので、最大限に高めていた警戒を解除する。