その言葉が髪の色のことだとしても、今の私には「好き」という単語はとても心臓に悪いのだ。まるで心臓がフル稼働して、全身の血が沸騰しているようだ。
だからなのか、さっきから胸のあたりがぽかぽかしているし、何だか身体も熱くなってきた。恐らく、私の全身は真っ赤になっていると思う。
もうこの状況が恥ずかしすぎて、今すぐ逃げ出したくなってくる。ダッシュでここから立ち去りたい衝動にかられてしまう。
だけど、そんな私の心境を察したかのように、エルが私の髪を一房掬い上げた。
その仕草に、まるで逃さないと言われているような、そんな錯覚を抱く。
そしてヱルは、掬い上げた私の髪に、そっと唇を落とすと、真っ直ぐな瞳を私に向けて言った。
「──はい。髪の色も瞳の色も──貴女の全てが好きです」
「……………………え? …………ええーーーーっ!!」
まさかエルから告白されるなんて、全く思わなかった私は驚きの声を上げる。ここ最近驚きっぱなしだったけれど、今のが一番驚いたかもしれない。