先程までの殺伐とした雰囲気から一転、あちこちでお爺ちゃんを称える言葉が飛び交っている。手のひら返しとは正にこのことだろう。
お爺ちゃんが騎士団長だと知るまで、散々アムレアン騎士団を引き合いに出していたし、彼らが大聖アムレアン騎士団に憧れているのは本当なのだろう。
「お前らアムレアン騎士団になら安心して国を任せられるんだろ? そんなにアムレアン騎士団が大好きなら、俺が団長になっても文句はないよな?」
「勿論です! 異論などあろうはずがございません!」
「世界中を探しても、これ以上ふさわしい人物はおりません!」
「我々から是非にとお願いしたいほどです!」
もはやお爺ちゃんをただの平民だと馬鹿にする者は此処にはいない。
この会議室にいる、元老院議員全員がお爺ちゃんを認めたのだ。
「あ、ちなみに俺、平民じゃねーから。これでも一応爵位を持ってんだよ。まあ、法国籍だけどな」
「…………お爺ちゃん…………」
お爺ちゃんのカミングアウトは一体何時まで続くのだろうか……。流石の私もそろそろ驚く気力が尽きてきた。