王都から戻り、相変わらず忙しい一日を終えた私は、くたくたになりながら自分の部屋に帰って来た。
(久しぶりの子供パワー……。流石に疲れた……)
今日は読書をやめて、早々に寝てしまおうとベッドに入ろうとした時、部屋の窓を「コンコン」と叩く音がして、思わず動きが止まる。
(……ん? 風の音……?)
気のせいかと思ったら、もう一度「コンコン」と音がした。
もしかしたら気のせいじゃなくて誰かが私を呼んでいるのかもしれない。
(え……? こんな時間に誰だろう……? もしかしてアンネさんが忘れ物をしたとか……?)
私は恐る恐る近づいて窓を開ける。
窓を開けた向こうは漆黒の闇が広がっていてかなり怖い。
(うわ〜暗いよ〜。やっぱり不用心だったかな……)
「……えっと、誰ですか……? 何か用ですか……?」
取り敢えず外に向かって声を掛けてみる。
やはり返事は無かったので、私は気のせいだったかと判断し、窓を締めた。そしてもう寝ようと再びベッドに入ろうとすると、後ろから耳障りの良い甘い声が私の耳に届いた。
「こんばんは」
「ひ、ひえっ!?」