ヴィクトルさんに案内されて辿り着いた場所は、元老院議員達が集う会議室だった。


 歴史がありそうな、荘重な装飾がされた扉をヴィクトルさんがノックする。すると、しばらくして重厚な音を響かせて扉が開かれた。


 初めて見る会議室は、高そうな美術品が飾られてるけれど落ち着いた雰囲気で、国の中枢を担う貴族達が集まるのにふさわしい場所に見えた。


 だから突然そんな場所に連れてこられた私の頭の中は、疑問符がたくさん飛び交ったままだ。


 だけど、正面の上座に座る人物を見た私は、はっと自分を取り戻す。


「王国の星、エデルトルート殿下にお目にかかれて光栄です」


 お爺ちゃんが見惚れるような所作で、丁寧にエルへ挨拶をする。

 そんなお爺ちゃんの姿に一瞬驚いたけれど、ここでボケっと突っ立ってる訳にはいかないと思った私は、以前教えてもらった礼儀作法を思い出し、可笑しくないようにお辞儀する。


 私達を見た貴族達が、ほぅっ…と溜息をもらす。

 貴族達が感心する様子に、私のお辞儀は可笑しくなかったんだと思うと、心にちょっとだけ余裕ができた。