巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


「こりゃ、随分良いお菓子を貰ったねぇ。これをくれた人は余程サラちゃんを気に入ってくれたんだねぇ」


 パウンドケーキを食べていたアンネさんが感嘆のため息を漏らす。


「それはそうと、神殿本部で何があったんだい? あたしで良ければ話を聞くよ」


 アンネさんに促された私は、神殿本部であったことをすべて打ち明けてみた。私の話を聞いたアンネさんが司教や付き人にすごく怒ってくれたので、私の心の中にあった怒りや悔しさがだんだん消えて行くのがわかる。


「話を聞いてくれて有難うございます。吐き出せてスッキリしました」


 付き人さんに話した時も思ったけれど、やっぱり嫌な気持ちを心の中に溜め込んでおくのはダメだな、と実感する。


「でも、聞いた限りじゃ子供達の服をくれたのはその司祭達じゃ無さそうだねぇ」


「……はい、私もそう思います」


 神殿本部から何かを送ってこられた時は必ず受け取りのサインをしなければならない。だからまだ文字がろくに書けない子供達が受け取れるわけがないのだ。

 それに、もしあの後ツルッとした司祭が服を用意してくれたとしても、私が帰るより先に孤児院に届くなんてありえない。