「──うん。私はエルが好きだよ」


真剣な顔をしたお爺ちゃんから、エルの事が好きなのかと聞かれた私は、正直に自分の気持ちを伝えた。


「……そうか! わかった!」


「う、うん?」


 私の気持ちを知ったお爺ちゃんの、悪巧みしているような顔が気になったけれど、非力な私が出来る事は何も無い。

 せいぜい人に迷惑をかけませんように、と祈るしかできないけれど、念の為釘は刺しておく。


「お爺ちゃんが何を企んでるのか分からないけれど、エルに余計な事はしないでね! 私は告白するつもり無いんだからさ」


 王国の王太子である、エルのような高貴な身分の人と知り合えただけでも幸運だったのだ。それだけでも一生分の運を使い果たしたと思う。

 なのに子供達を助けて貰っただけでなく、この離宮で勿体ないほどの待遇を受けている──そう考えると来世の幸運まで使い果たしているに違いない。


「そもそも身分が違いすぎるんだよ。なのに告白なんてしたら私はスッキリしても、エルが罪悪感を持ちそうだし」


 どう足掻いたって結局私はエルにとって、児童養護施設運営のお手伝い要員に過ぎないのだから。