神殿本部で門前払いのような扱いを受けたことを、子供達の前では流石に言えないな、と思い口籠っていると、「まあまあ、取り敢えず中に入りな。話はお茶を飲みながらしようじゃないか」とアンネさんに言われ、それもそうかと中に入る。
自分の部屋に戻りいつもの巫女服に着替えると、エリーさんから貰ったお土産のお菓子を持って食堂へ向かう。
(そろそろおやつの時間だったし、ちょうど良かった)
エリーさんがくれたのは、ドライフルーツがたっぷり入ったパウンドケーキだった。貰った時、結構ずっしりとしていたので、これは何のお菓子だろうと不思議に思っていたのだ。
(ドライフルーツがいっぱい……! こんな高価そうなものだったなんて……!)
お酒に漬けられたフルーツで生地がしっとりとしたパウンドケーキを人数分切り分ける。バターとフルーツの甘い香りが食堂中に広がって、その芳醇であろう様子に子供達が期待の眼差しで見ている。そして切り分けたパウンドケーキをお皿に載せて子供達に配って行くと、きゃーきゃーと歓声が上がる。
「はいはーい! いただく前のお祈りをするよー! ちゃんと感謝の気持を込めてお祈りしてねー!」



