巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


 私はエリーさんや子供達の笑顔を思い浮かべながら歩く。孤児院は街の外れにあるから結構な距離を歩かないといけないけれど、上機嫌でふわふわとした気持ちになった私の足取りは、旅の疲れを感じさせないぐらいに軽かった。


 心地よい風を感じながらしばらく歩くと、慣れ親しんだ孤児院が見えてきた。
 子供達が元気に遊んでいるのが遠目でもよく分かる。


(ふふっ、元気そうで良かった……! この光景、何だか随分久しぶりに感じるなあ)


 往復で五日ほどの旅だったけれど、こんなに長く子供達と離れるのは初めてだったので、何ヶ月も会っていないような気になってしまう。


「あ! サラちゃんだー!!」


「ホントだー! 帰って来た!!」


「サラ姉ちゃんおかえりー!!」


「おかえりー!!」


 初めに気づいた子を筆頭に、子供達が次々と駆け出してきて私に抱きついてくる。私が帰ったことを喜んでくれる子供達の姿に心が癒やされる。


「皆んなただいま! いい子にしてた? って、あれ……?」


 子供達の様子がいつもと違うことに気が付き驚いていると、私にしがみついていた男の子、トニーがニコニコと笑顔で言った。