王都にあるアルムストレイム教の神殿本部に潜入している仲間達からの報告で、神殿内部の腐敗が次々と判明する。

 人々を正しき道へ導くべき聖職者の汚職は目に余るものではあったが、アルムストレイム教と決別するための根拠とするにしてはまだ不十分だった。このような問題はどこの国でも起こりうる内容だし、精々該当する者を降格させるか破門するなど、個人の処分で終わってしまう事がほとんどだからだ。


 自分達が望む物はアルムストレイム教の根底を揺るがすような、そんな情報だ。

 だけど今まで王室が放置していたせいもあり、腐敗が進んでしまっているのもまた事実なので、僕は視察という名目で神殿本部に足を運ぶ事にした。


 神殿本部内では王太子の視察が行われるということで一時騒然となったらしい。この何十年かの間、神殿内部に王族が洗礼以外で訪れることは無かったからだ。

 そんな神殿本部では都合の悪いものを隠蔽するために大忙しのようで、僕を迎え入れる準備と証拠の隠蔽を神殿本部総出で行っているらしい。


 そうして迎えた視察の日。