もしお爺ちゃんに万が一の事があったら連絡が来ると思うし、便りがないのは元気な知らせと言うから大丈夫だと思うけれど、それでも心配なのは変わらない。


 後任の司祭様が派遣されることになっているものの、人選に手間取っているのか、今のところ後任の司祭様が来る気配はない。
 だから私は一人でこの小さな孤児院を切り盛りしなければならないのだ。


 この孤児院で生活している子供の数は十、ベットの数は八。


 ベッドの数が足りないため、四台ずつベッドをくっつけた特大ベッドを二台作り、それぞれに五人の子供達を寝かせている。

 今はこの特大ベッドで誤魔化しているけれど、それも後一年もたないかもしれない。子供の成長は著しく早いのだ。


 私はそろそろ子供達を寝かさなければと思い、声を上げる。


「皆んなー、寝る準備を始めるよー!」

「「「はーい!」」」


 子供達は元気に返事をすると、きゃーきゃーとはしゃぎながら着替え始める。


「ねぇねぇ、サラちゃん、今日はこれ読んで」


 孤児院で一番小さい女の子、エイミーがニコニコと笑顔で絵本を持って来た。


「そうだね、今日はこの絵本を読もっか。でもお着替えが終わってからだよ」

「うん!」


 エイミーは嬉しそうに返事をすると、自分の寝間着に着替え始める。だけど、まだ小さいエイミーは上手くボタンを留めることが出来ず、悪戦苦闘している。


「ふふっ、ほら、エイミーおいで」

 私はエイミーのボタンを留めながら、裾が短くなった寝間着を見る。


(そろそろこの寝間着も限界かな……)


 私は子供達に気づかれないように、そっとため息をついた。