「……貴女にだけは、嫌われたくないんです」


 エルの懇願するような言葉にドキッとする。

 私がエルを嫌いになる訳がないけれど、私の気持ちを知らないエルがわかるはずも無く。


(ここで私がエルに告白しても、きっと同情か憐れみで言っていると思われるかもしれないな……)


 今はまだ想いを伝える事は出来ないけれど、せめて行動で示してみようと思った私はエルにぎゅっと抱きついた。


「……っ!?」


 私の突然の行動に狼狽えたエルの気配がするけれど、私は構わずエルに言った。


「わかった! エルが許してくれるならずっとそばにいるよ! 約束する!」


 どうかエルに私の気持ちが伝わりますようにと思いながら、私はエルをぎゅうぎゅう抱きしめる。


 ──エルが王様になって、お妃様を娶るまでの期間限定だけれど、それでもそばにいられるのなら、私は最後までエルの味方でありたいと思う。


 私の行動に硬直していたエルだったけれど、硬直から我に返ったのか私の背中に手を回すと、強い力で抱きしめ返してくれた。


 久しぶりに感じるエルの香りと体温の温かさにホッとする反面、心の底から寂しさが込み上げてくる。