王都にある神殿本部の貴賓室に、お爺ちゃんがいるかも知れないとエルが教えてくれた。

 他にもこの一年の間に亡くなった司祭の有無も調べてくれた結果、該当者無しとの事でお爺ちゃんが無事生存しているとわかった私はほっと胸を撫で下ろす。


「エルの部下さんに、私達は離宮にいるってお爺ちゃんに伝えて貰う事は出来る?」


「次回会った時に伝えておきますよ」


「うん……有難う、それと離宮行きの事もよろしくお願いします」


 エルと出会ってから、私の心配事が一つ一つ無くなっていく。


 お金が無くて子供達の服が買えなかった事から始まり、テオの私への執着や助成金の不払いにお爺ちゃんの安否……。

 いくら私が頑張ってもどうにも出来なかったこれらの問題が、エルのおかげで一気に解決へと向かったのだ。


(こんなにたくさん助けて貰ったのに、私はエルに何が返せるのだろう……)


 元々は情報交換を条件にしていたけれど、私が渡した情報は対価として全く見合っていない。ただお爺ちゃんから聞いた話をちょろっと流しただけだし。


 エルに何かお礼をしたいけれど、王太子へのお礼って平民が出来るものなのだるうか。