もしかしてエルの部下だと言う例の付き人さんが調べてくれたのだろうか。だとしたらとても嬉しい。会う機会があれば何としてもお礼を言いたい。


「ええ、神殿本部に潜り込ませている者の情報では、一年前から貴賓室に滞在している人物がいるとの事です。どうやらその人物がソリヤの司祭らしく」


「え、貴賓室? 引退した司祭用の施設じゃなくて?」


 こんな小さい街の司祭が神殿本部の貴賓室にいるなんて驚いた。


「神殿本部の貴賓室はかなり地位が高い者でないと利用できないそうですね。その辺りの司祭や、それこそラキトフ神殿の司教でも利用不可でしょう」


 司教区の司教でさえ利用できない貴賓室に一年以上も滞在しているなんて、お爺ちゃんってば一体何者なんだろう? 変わり者なのは知っているけれど。


(もしかしてあまりの居心地の良さに駄々こねて居座っているんじゃ……? お爺ちゃんなら有り得そう……)


 だけど、いくら変わり者とは言え、子供達を放っておく程お爺ちゃんは薄情な人じゃない。それは育てられた私が一番良く知っている。


「部下達には引き続き調査するように命令しています。何か分かり次第サラにも教えますよ」