司祭の口からいよいよエルに関する情報が手に入る、と思ったその時、馬達の激しい嘶きが聞こえると同時に馬車がガコンガコンと激しく揺れる。
「な、何事だ!?」
突然の事に司祭と修道士達が慌てふためいている。そして修道士の一人が馬車の窓を開けて外を確認すると、馬達が酷く怯えて暴れているらしく、御者が馬達を落ち着かせようとする声が聞こえてくる。
「おいお前、御者に状況を聞いて来い!」
司祭の命令を受けた修道士の片割れが「はい」と頷き、馬車の扉を開けて外に出ようとする。私はその隙を見計らい、扉が空いた瞬間、修道士目掛けて体当たりをした。
「ぐえっ!」
私が体当りした修道士からカエルが潰れたような声がしたけれど、内臓は損傷していないだろうから、ちょっとの間だけ痛みを我慢して欲しい。
修道士を押しのけて開いた扉から外に出ると、見覚えがある風景が広がっていた。ここなら自力でも帰れるから、森の中に身を潜めて司祭達を巻いてやろうと考える。
(エルはもう孤児院に来てるかも……! せめてエルにお別れの言葉を言いたい……!)



