「はい、そうですけど……」
「うむ。お前をバザロフ司教がお呼びだ。私達と一緒にラキトフ神殿まで同行願おう」
私は司祭からの要請に驚きつつ困惑する。同行を願うと言われたけれど、もしかして今すぐ行かないといけないのだろうか。
「それは今からという事ですか?」
「うむ。あちらに馬車を用意しているのでそのまま乗って貰いたい」
何だか気軽に言うけれど、子供達を置いて行く訳には行かない私は申し出を断る事にする。
「申し訳ありませんが子供達を置いて行く訳には行きません。また日を改めて──……」
「それは出来ん。司教様をお待たせする訳にはいかんのだ」
断ろうとした私の言葉をまたもや遮った司祭が、後ろに控えていた修道士達に目配せをすると、頷いた二人が私の腕をそれぞれ拘束する。
「えっ!? ちょ、ちょっと! 何をするの!! 離して!! って、司祭様!! 一体どういう事ですか!?」
まるで犯罪者のような扱いに抗議の声を上げるけれど、私の訴えは無視されて強引に馬車に乗せられてしまう。
(くっそー! 一体何なの! 何で私が会った事もない司教に呼ばれるのー!?)



