それから子供達を寝かしつけ、自分の部屋に戻ろうとしたところで玄関の扉がノックされる。
(……え、こんな時間に誰だろう……? もしかしてエルが来たとか……?)
いつもは私の部屋に直接やってくるエルだけれど、今日はお行儀よく玄関から来たのだろうか、と思いつつ、念の為確認しようと扉に向かって声を掛ける。
「えっと、どちら様でしょうか?」
「私はソリヤを司教区としているバザロフ司教の使いの者だ」
扉の向こうから返ってきたのは意外な人物の声だった。
(ソリヤを担当している司教の名前ってバザロフっていうんだ……初めて知ったよ)
管轄の司教の名前を知れたのは良いけれど、こんな時間に教会の人間が一体何の用だろうと不思議に思いながら扉を開けると、司祭服に身を包んだ壮年の男性とその後ろに修道士らしき男性が二人立っていた。
「えっと、どうぞ中にお入り下さい。そちらでお話を──……」
「いや、ここで良い。お前が巫女見習いのサラだな?」
神殿関係者だし立ち話できる雰囲気じゃないと思い、応接室に案内しようとしたけれど、そんな私の言葉は司祭に遮られ、代わりに名前を確認される。



