そうしてしばらく、殿下とバーバリ司教が去って行ったのを音で確認すると、ようやく私は顔を上げる。


 私が顔を上げて見た先には、騎士たちに囲まれて歩いていくバーバリ司教と、輝く金色の髪をした背の高い男の人の後ろ姿があった。きっと金髪の男性が殿下なのだろう、後ろ姿なのにオーラが違うのがよく分かる。


「さあ、貴女はこちらへ」


 殿下の姿に見惚れていると、先程バーバリ司教の後ろに控えていた付き人さんがいた。


「ええっと……」


「貴女はここが何処か分からないでしょう? 案内して差し上げますよ」


 付き人さんに言われ、そう言えばそうだったと思い出す。


「すみません、お願いします」


 そうして、私は付き人さんと会話しながら神殿本部だと思われる敷地内を先導してもらう。

 付き人さんはとても会話上手と言うか聞き上手と言うか、私がバーバリ司教にしていた孤児院の話を根掘り葉掘り聞いてきた。私も説明することでバーバリ司教に伝わるのなら、と思い、孤児院の現状を洗いざらいぶちまけてみた。


「……そんな状況だったとは……それはそれは、貴女もお若いのに苦労なさっているのですね……」