巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


(問題はいつ領主の屋敷に行くかだけど……今すぐは無理だしなぁ)


 何だか考える事が多すぎて、もう頭の中はキャパオーバー寸前だ。
 私は刺繍していた手を止め、ちょっと休憩しようかな、と思い立ち上がると、丁度そのタイミングで玄関の扉がノックされた。


「はいはーい、っと。あ! エリーさん!」


 扉を開けた先には、相変わらず優しげに微笑んでいるエリーさんがいた。


「こんにちはサラちゃん。忙しいのにごめんなさいね」


「全然!! エリーさんならいつでも大歓迎ですよ! どうぞ入ってください!」


 前回と同じようにエリーさんを応接室へ案内し、今回もお茶を淹れようと思ったけれど、「お話したらすぐ帰るから」とエリーさんに固辞され、私も大人しく椅子に座る事にする。


「あまり時間がないから簡単に説明するとね、サラちゃんが心配していた廃神殿は入り口付近に石が落ちたぐらいで崩れていなかったそうよ」