巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


『……孤児院への援助資金を親父に頼んで止めて貰ったんだ』


 ──それは、盗賊達に捕まった私にテオが告げた事実で。


「ああー! 忘れてたーー!! そうだ!! テオの奴……っ!!」


 馬鹿馬鹿しい理由にすごく腹が立ったのに、どうしてすっかり忘れてしまっていたのか。自分でものんき過ぎると呆れてしまう。


「えっと、こういう場合はどこに連絡すれば……領主……でいいのかな?」


 ……今更だけど、あれからテオはどうなったんだろうと考える。
 エルに捕まったのだから地獄に連れて行かれたのかもしれない。なら、きっと盗賊達も一緒なのだろう。

 子供達は覚えていないとはいえ、酷い事をしたのは確かなのだから、もう二度とそんな気なんて起こらないようにコテンパンにして、根性を入れ直して欲しい。エルにお願いしたらやってくれるかな。……悪魔に人間の更生をお願いするのも変だけど。


 そう言えばテオはずっと前から次期領主と言われていたのに、今回の一件でその話もご破算だろうな、と思う。そもそも領主がテオに協力したせいで孤児院は大変だったのだ。領主には直接会ってガツンと言ってやらなきゃ気が済まない。