(あれが夢かどうかは分かんないけど、まずは子供達の無事を確認しないと……!)
昨日は拐われた子供達の姿を見れないまま意識を失ったので、全員が無事かどうか心配だったのだ。
部屋を出る前に何か変わった事がないかと、部屋をぐるっと見渡した私はふと拐われた時の事を思い出す。
「そうだ!! 窓!!」
私がバッと振り返ると、盗賊のお頭に壊された筈の窓はちゃんとついていた。割れて飛び散った筈のガラスもはまっているしガラスの破片も見当たらない。
(……あれれ〜? やっぱりあれは夢……?)
夢か現実か分からなくなってきた私の視界の隅に、ふと見覚えのないものが映ってハッとする。何だろうと思いながら見てみるとそれは白い封筒で、私の机の上にさり気なく置かれていた。
封筒を手にとってみると宛名も差出人も何も書かれていなかったので、怪しいと思いつつ中を確認すると、繊細な模様が箔押しされた便箋に、綺麗な文字で自分宛てのメッセージが書かれていた。
『サラへ──今日の夜迎えに行くので、身の回りのものを纏めて待っていてください。事情はその時説明します。──エル』



