──エルの凄まじい威圧に、お頭の身体は硬直して動けないからだ。
何時も私に接する時の穏やかな雰囲気とは全く違うエルに、きっとこっちが本来のエルの姿なのかな、と思う。ただでさえ綺麗な顔なのに、エルの紅玉のような瞳に冷たく睨まれると凄みがあってかなり怖い。もし私がエルにこんな視線を向けられたら泣く自信がある……かも。
「本当はもっと早く助けに来たかったのですが、神殿の奴らがしつこくて。遅くなってすみませんでした」
エルの言葉に、はて? と思う。「神殿の奴ら」って誰だろう? 使い魔達の事だろうか。
「エルはどうやって此処が分かったの? ずっと神殿にいたはずなのに……」
「……その事についてはまた日を改めてお話をしましょう。貴女にもお聞きしたい事がありますし」
私からも色々聞きたい事はあったけれど、エルの言う通り此処でする話では無いな、と納得する。それにエルが話してくれると言っているのだから、その時に根掘り葉掘り聞き出してしまおう。でもエルが私に聞きたい事って何だろう? ……疑問は色々残るけれど、今は全部後回しにしてしまえ。



