「我が力の源よ 記憶を幽囚せし闇の檻となりて かの者の光の欠片を封印せよ 我が意のままに 我が成すままに 我に従う傀儡となれ インペリウム・アニムス」
お頭が呪文を唱えると、私の目の前に魔法陣が顕れる。その魔法陣から黒い靄のようなものが溢れ出すと、私の身体を覆うように纏わり付いて来た。そして靄が触れた部分から、何かが身体の中に入ってくるような悍ましい感覚がする。
(くっそー!! 闇になんか負けたくないのに……!!)
闇属性の魔力が私の神経を徐々に侵食しながら上へ上へと這いずってくる感覚に叫びそうになるけれど、ぐっと奥歯を噛み締めて何とか耐える。だけど、自分の全てが闇に覆われてしまうのは時間の問題だろう。
(そんなの嫌だ……エル……!! ────助けてっ!!)
心の中でエルの名前を叫ぶと、胸の奥深くから何かが弾ける感覚がした、瞬間──
『──────サラ!!』
──ここにいるはずのない、エルの声が耳に届いた。
「エルッ!!」
エルの気配を感じた私は力を振り絞ってエルの名前を呼んだ。



