私は頭の中でぐるぐると考える。子供達が無事ならテオに好きだと言うぐらいお安いご用だ。まっったく気持ちは籠もっていないけれど。でも、何かが引っかかる。
だだ私に好かれるためだけにテオはこんな大掛かりな事をしでかしたのだろうか。それって常識的に考えて逆効果だと思うけど。
それに子供達を拐った事実をどうするのか。もしかして示談で無かった事にするつもりかな。
いまいちテオが何をしたいのか分からない私は困惑する。テオの真意が見えない今、下手な事を言うのは憚れる。
法国には言葉にした文言を正式な契約書に刻み込み、相手を縛る魔法具がある。そんな物をテオが持っていたら私は契約によって強制的にテオを好きになるのだ。それは非常に嫌だ。
私が言い淀んでいると、テオが「チッ!」と舌打ちをした後、私に向かって言った。
「サラの意思で俺を好きになって貰いたかったけど……残念だよ。まあ、サラは頑固だしな。そこが可愛いけど今は素直になってくれないと困るから、サラが素直になるようにちょっと精神に干渉して貰う事にするよ」
──精神干渉……!? それって─……!
「このお頭は闇属性魔法の使い手なんだぜ。人間の潜在意識に働きかけて思うように操れるんだってよ! すげぇよなぁ!! なぁ?」



