バーバリ司教がうっとおしそうに手を振って再び話を遮る。この人にとって、子供達や孤児院の危機なんてどうでもいい事なのだろう。


(どうしてこんな人が司教なの……?)


 弱き者の嘆きを、慈悲の心を持って聞き届け、苦を取り除く手助けをし、導いてくれるのが聖職者ではないのか……!


 私の心が怒りに染まりかけたその時、背後から声を掛けられた。


「バーバリ司教、何を揉めている?」


 聞こえてきた声は若い男性のもので、その声は凛とした心地よい声だった。


「──!! で、殿下……!?」


 バーバリ司教が驚愕の表情をした後、その顔色を真っ青にする。