巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


「そ、そうだ! 俺が契約して依頼した女なんだからな!! 変な気を起こすなよ!!」


 テオが依頼主なのに、お頭のほうが随分上の立場のような気がしてくる。この人なんで盗賊なんてやってるんだろ?


「ちょっと、テオ! 依頼って何を依頼したのよ!! なんで子供達まで巻き込むの!? 私だけでいいじゃない!! 子供達はもう開放してあげて!!」


 私のお願いにテオは一瞬たじろいたけれど、ギリッと歯を食いしばると大声で叫んだ。


「駄目だっ!! ガキ共がいるからサラは俺を蔑ろにするんだっ!! ガキ共がいなければサラは俺を見てくれるだろ!? なぁ?」


 ……何いってんだコイツ。


 テオの言い分に呆れを通り越して腹が立ってきた。

 私がテオの相手をしないのは子供達がいるからとか関係なく、テオ自身が問題ありありだからだ。もしテオが真面目で優しくて困っている私を助けてくれるような、そんな人だったら──……。


 ──そこまで考えた私は、綺麗で優しい悪魔の顔を思い出す。


 エルは悪魔なのに、私に手を差し伸べてくれた……それが情報を渡すという取引だったとしても、私がエルに救われたのは間違いないのだ。