巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


「あんたが何時もいきなり来るからでしょうが!! こっちは予定が詰まってるんだから、前もって言ってくれないと駄目に決まってるじゃない!!」


 私の言葉にテオはポカンとすると、おずおずと窺うように聞いてきた。


「……じゃあ、俺がちゃんと手順を踏んで誘ってたら乗ってくれたのか……?」


「用事がなければね。一回ぐらいなら話を聞いたよ」


「じゃ、じゃあ俺が交際を申し込んだら受けて「それは無理」──って、おい!」


 私とテオが言い合いをしていると、横から「クッ」と笑いを噛み殺したような声がしたので、テオと同時にそちらを見るとお頭が肩を震わせて笑っていた。

 そんなお頭の様子が珍しかったのか、子分達はポカーンと口を開けて驚いている。


「テオバルト様の負けですよ。俺は彼女の言い分の方が正しいと思いますがね。……しかし、こんな状況なのに泣きもせず怒鳴り散らすとは……。可憐な見た目とは違い随分肝が座っている。契約が無ければ自分のモノにしたのに……残念です」


 お頭の言葉に、子分達がザワザワと騒ぎ出す。さっきからやたらと驚いているけれど、お頭の反応が珍しいのかもしれない。