巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


「テオバルト様、ここにお越しにならないよう注意しましたよね? 許可した者しか入れない結界とは言え、勝手をされたら困ります」


「……っ、でも俺、サラが心配で……!」


 お頭がテオに向かってきつい視線を投げると、反論しながらも声は尻すぼみになっていく。お頭の威圧にビビっているらしい。


(怒られるのが怖いなら言い付けをちゃんと守ればいいのに……全く、テオは成長しないなあ)


 身体や態度は大きいくせに基本小心者だから困る。それに私を心配って言うけれど、そもそもの元凶はテオだろう。


「彼女には何もしていません。部下達にも指一本触れさせていませんよ」


 お頭の言葉に、子分達は一斉にコクコクと頷いた。確かに私は指一本も触れられていない。私を拘束したのもきっとお頭なのだろう。


「……あ、ああ。それなら良いんだ」


 盗賊達の様子に安心したテオが私の方へ顔を向けると、嬉しそうに近寄ってきたので、この状況はどういう事なのか説明して貰う事にする。

 正直私の腸は煮えくり返っているけれど、何とか落ち着いた声を出そうと試みる。


「……テオ、これは一体どういう事かな……っ????」