巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。


「「「「「お頭! お疲れさまです!」」」」」


 やたらお行儀の良い男達に驚いた。さっきの砕けた雰囲気が張り詰めたものに変化する。どうやらこの「お頭」はかなり統率力が高いのだろう。


 私がお頭なる人物を見ようと顔を上げると、黒いフードを被った大柄な男が立っていた。


(コイツは……!! 私の部屋に入って来た奴だ!!)


 エルと勘違いした私に襲いかかって来た人物を見て、その時の事を思い出す。顔はよく見えなかったけれど、持っている雰囲気は一緒だと分かる。


(部屋の窓を壊して入って来た男がこの盗賊団のリーダーだったんだ。くっそー! よくも窓を壊してくれたな!! 修理にいくら掛かると思ってるんだ!!)


 私が心の中でお頭とやらに恨み言を吐いていると、そのお頭がフードを脱いで、盗賊達に「変わりはないか?」と尋ねる。


「へい! 巫女は丁度目を覚ましたところです!」


「そうか。どれ、顔を見せてみろ」


 お頭はそう言って私の元へやってくると、膝をついて私の顔を覗き込んで来た。盗賊達のお頭は意外と若いけれど目付きが悪い強面で、頬に大きな傷があった。