さっきから男達が言っている「ソリヤの聖女」って私の事……? そんなあだ名が付いてたの? ──いやいや、それよりも気になる事があるんだった。
「『あんな奴』って……誰の事? 私達を拐うように言った人間がいるの?」
よく考えたらあんな貧乏な孤児院を狙う人間なんていないはず。金目のものは何もないし、子供達を売るって言ってもリスクの方が大きいと思う。
(……となれば、私に恨みがあるか孤児院が目障りな人物……?)
私に恨みがある人間を思い浮かべたけれど思い付く人物に心当たりがない。もしかして自分で気付かない内に、恨まれるほど誰かを傷つけていたのだろうか。
「ん〜? まあ、普通は知りたいよなあ」
「でも契約だからなぁ。俺達の口からは言えねぇな」
この盗賊達は意外と統率が取れているのかも知れない。守秘義務を遵守とは。
(でも、契約という事は誰かから依頼を受けたっていう事だよね。盗賊達が気まぐれで孤児院を襲ったわけではないのか)
依頼人の目的や、その正体が一体誰なのかを考えていると、部屋のドアが開いて誰かが入って来た。男達は入って来た人物を見ると一斉に姿勢を正す。



