「子供達には何もしないで! お金が欲しいなら、今は全然無いけど頑張って働いて用意するから……!」
エルのお陰でやっと孤児院の財政難は解消されたけれど、いつまでもエルに頼る訳には行かないとずっと思っていた。だからどうにかして自分達だけで生計を立てられるように、子供達と話しているところだったのだ。
子供達はこの一年で随分成長したようで、自ら働いて孤児院を助けたいと言ってくれた。そんな良い子達を売ろうだなんて、なんて酷い奴らだ……許すまじ!
(それに子供達が売られてしまったらもう二度と会えないかも知れない……!!)
この国では人身売買を禁止しているけれど、未だに人身売買が行われている国もあると聞く。どこかの国にあると言う犯罪組織が絡んでいる可能性だってある。
「ヒュー! 流石『ソリヤの聖女』様だ! 体を張って子供達を庇うとはお優しいこって!」
「あーあ。俺がお貴族様だったら巫女ちゃんとまとめて買ってやるのになー」
「ほんとほんと。こんな可愛いくて優しい子があんな奴のものになるなんてなぁ……勿体ないぜ」



