驚いた私が振り向くと、目の前に黒い手が迫って来ていて、頭を掴まれた瞬間、視界が真っ暗になって、私の意識はそこで途切れてしまったのだった。
* * * * * *
意識が微睡んでいる私の耳に、聞き覚えのない男達の声が聞こえて来るけれど、頭がぼんやりとしていて、男達の言葉の意味を理解出来ない。
「お、意識が戻ったみたいですぜ?」
「だが、まだ意識は混濁しているみたいだな」
「眠ってる顔も可愛かったけど、目ぇ開いたらめっちゃ可愛くね?」
「手ぇ出したらダメだなんて、生殺しだよなぁ」
「しょーがねーだろ。そういう依頼なんだからよ」
「ちぇ。いつもは味見できたのになー。かと言ってガキ共は小さすぎで食指が動かねーし。この巫女ちゃん、めっちゃタイプなんだけどなぁ」
「そりゃお前、『ソリヤの聖女』様だぜぇ。街中の男どもが狙ってるってよ」
男達の「ガキ共」と言う言葉に、私の意識が急激に引き戻される。
「……子供達……は……?」
私が何とか言葉を発すると、男達がニヤニヤしながら近づいて来た。目線が低い事から考えて、私は床に転がされているらしい。



