「そ、そうなんですね……全然知りませんでした……」
「こんなに良いお茶をいただいて申し訳ないわ。お礼と言っては何だけれど、焼き菓子を持って来たの。子供達に食べさせてあげて」
エリーさんはそう言うと持っていた鞄から箱を取り出し、私に渡してくれる。中にはフィナンシェやマドレーヌなどのお菓子がぎっしりと詰まっていた。
「えっ!? こんなに良いんですか? 嬉しいです! この前いただいたパウンドケーキも凄く美味しくて、子供達大喜びでした!」
「ふふ、そう言って貰えると嬉しいわ。自分の選んだものを気に入って貰えたのなら商人冥利に尽きるってものよね」
エリーさんが微笑みながら言う姿に、自分の仕事に誇りを持っているのだという事が分かる。
(わぁ……! エリーさん、自信に溢れていて格好良いなあ……!)
「エリーさんはどこの街に行っていたんですか?」
「こことは反対の位置にあるソリスよ。ソリヤと地名が似てるから間違えそうになるわね」
ソリスの街はここ、ソリヤと違って交易が盛んな街だ。ここからソリスに行こうと思うと王都を縦断して行かなければならない。



