世界を股にかける商人の奥様であるエリーさんだから、きっと凄く舌が肥えているのかもしれない。この前貰ったパウンドケーキもすっごく美味しかったし。


「……サラちゃん、このお茶はどうしたの?」


「え? えっと、知り合いから贈られたものですけど……」


 流石に悪魔から贈られたとは言えず、無難な答えを返す。するとエリーさんは「まあ……」と感心した表情を浮かべると、意外な言葉を口にする。


「知り合いに貴族がいるなんて凄いわね。私も以前飲んだ事があるけれど、それも貴族との商談の時の一度っきりだったもの。凄く美味しかったのを覚えているわ」


(え。貴族の知り合いなんていませんが…。どうしよう、このお茶ってそんなに高価なものだったの……!?)


「このお茶は王室御用達らしくてね。王都の貴族街にあるお店でしか手に入らないって言ってたわ」


 エリーさんの言葉に驚いた。まさかの王室御用達……!! そんなお茶を飲んでいたとは……!?


(この前婦人会のおばさま方が来た時に一缶開けちゃったよ……!)


 おばさま方も凄く気に入ったようで何度もおかわりしてたっけ。