「シェリーの様子は?」
「非常に危ない状況でございます。陛下よりも進行が進み、身体を蝕んでいます。正確にはわかりませんが、陛下が魔女から聞いた陛下自身の寿命が1年もないとのことでしたら、彼女はもっと……」
「わかった」

 シェリーの呪いの様子を見た一級魔術師は、悲痛な面持ちのジェラルドに告げてそっと部屋をあとにする。

 ジェラルドはベッドで苦しそうに眠るシェリーの手を取って祈るように目を閉じる。

「お願いだ、死なないでくれ」

「いよいよ死ぬときがきたわね」

 ふと聞こえた魔女の声にジェラルドが振り返ると、そこには誰もいなかったはずなのに急にそこに彼女はいた。

「魔女……!」

 凄みを聞かせてにらみつけるジェラルドに対して魔女は不満そうに告げる。

「もう、そんな顔で見つけないでよ。男前が台無しよ?」
「何しに来た」
「そろそろシェリーの命がつきるころかなって見に来たのよ」
「頼む、なんでもするから彼女だけでも呪いを解放してくれ」
「それはできないわ。呪いは一度しか解除できない。彼女の呪いは二回目なのよ」
「──!!」

 魔女は近くの椅子に座って足を組んで悠然と語り出す。